こども郵便局とは

郵便貯金制度ができた明治時代から大正時代にかけて、政府はさらに貯金を推進させるために切手が郵便貯金になる「切手貯金」というものをつくりました。専用の台紙に切手を貼って郵便局に提出すると、その代金を郵便貯金として預け入れてくれる、というものです。記帳の後は消印を押した台紙を返してもらえました。記念切手などを集めて貼ることも流行り、楽しみながら貯金ができるとして広まりましたが、関東大震災などで切手が不足状態になり、いったん中止されました。


その台紙には「山内一豊の妻が鏡台からお金を出して夫に名馬を買わせた図」などの絵が描かれています。なかなか繊細な絵で当時の切手も貼ってあるので、今ではコレクターも多く、ヤフオクなどで結構な値段で取引されているようです。二宮尊徳の切手の貼ってあるものは、何と2万円もしてましたよ。子供たちに貯蓄の習慣を身に付けさせるため、という主旨の貯金でもあったのですが、肝心のその台紙は、二つ折りにして紙飛行機にして飛ばしていたことの方が多かったとか。


その後1948年には、郵便局と学校が協力して「こども郵便局」がスタートしました。子供たちが実際に窓口で受け付けをしたり通帳に記帳をしたりの業務を行い、預かった現金や通帳、帳簿などを提携している郵便局の職員に渡して、郵便局に貯金してもらうというシステムでした。子供たち自身が貯金の出し入れを行う事で正しい金銭感覚を身に着けさせ、貯蓄の大切さを教えるために教育の一環として取り入れられてきましたが、修学旅行の積立としても実際に利用されました。


こうしてこども郵便局は全国の小学校で採用されました。嘗ては貯金と言えば郵便貯金でしたが、今やネット預金など貯金の方法も多様化しており、また郵政民営化によって郵便事業が民間会社になったこともあって、2007年、こども郵便局は半世紀近くの歴史に幕を下ろしました。


しかし、郵便物が届くシステムを理解させ、現場で働く人の大変さを理解させるために良いとして、最近では改めてこども郵便局を授業の教材として取り入れるところもあるようです。子供たちにどんな仕事があるか確認させ、実際に郵便局に見学にも行く。仕事を分担させて看板やスタンプ、ポストなどの必要な準備を整えさせ、自分たちが書いたはがきがどんな経路で届くかを体感させるというもので、なかなか楽しい有益な授業になりそうですね。しかし、「貯金業務」の方は、実際には今では郵便局自体の仕事ではなくなったことでもあり、現金を取り扱う事に親の抵抗感も強いとのことで、現在ではなかなか難しいようです。


これだけネットで簡単に預金ができ、ローンが借りられ、それにともなうトラブルも増えている現代であるからこそ、学校でもっともっとお金に関する授業をやっても良いのではないかと思います。